高校生活の集大成ともいえる卒業文集。いざペンを手に取ると、「何を書けばいいんだろう…」と頭を抱えてしまう人も少なくないでしょう。しかし、心配はいりません。いくつかのポイントを押さえれば、誰でも自分らしい素敵な卒業文集を書くことができます。
大切なのは、難しく考えすぎず、自分の言葉で素直な気持ちを綴ることです。高校生活を振り返り、特に心に残っている出来事や成長できたと感じる経験、そしてお世話になった人への感謝の気持ちなどを整理してみましょう。この記事では、卒業文集の基本的な構成から、テーマの見つけ方、さらには参考にできる例文の探し方まで、あなたの卒業文集作りを力強くサポートします。
高校生の卒業文集作成の第一歩!基本構成と例文の探し方
卒業文集を書き始める前に、まずは全体の設計図を描くことが大切です。どのような流れで文章を組み立て、どんなテーマについて書くのか。そして、参考になる例文をどう見つければ良いのか。ここでは、本格的に書き始める前の準備段階として、基本となる3つのステップをわかりやすく解説します。この最初のステップをしっかり固めることで、後の執筆がぐっとスムーズになります。
まずは構成を考えよう!卒業文集の基本的な流れ
文章を書くのが苦手な人でも、まず構成、つまり文章の骨組みを決めてしまえば、驚くほどスムーズに書き進められます。卒業文集の基本的な構成は、以下の「序論」「本論」「結論」の3ステップです。
- 序論(書き出し)
「高校生活の3年間で最も心に残っている出来事は〇〇です。」のように、これから何について書くのかを簡潔に示しましょう。 読者の興味を引くような印象的な一文から始めるのも良い方法です。例えば、「この制服に袖を通した日のことを、まるで昨日のことのように思い出します。」といった書き出しも素敵です。 最初にテーマを明確にすることで、文章全体に一貫性が生まれます。 - 本論(具体的なエピソード)
序論で提示したテーマについて、具体的なエピソードを交えながら詳しく書いていきます。ここが文章の中心部分になります。楽しかった思い出だけでなく、困難を乗り越えた経験や、少し失敗してしまったエピソードなども、あなたらしさを表現する大切な要素になります。 その出来事を通して何を学び、どう成長できたのかを具体的に書くことで、文章に深みが増します。複数のエピソードを取り上げる場合は、「一つ目は…」「二つ目は…」と区切って書くと、読みやすくなります。 - 結論(結び)
本論で述べた経験や学びを踏まえて、将来への抱負や、お世話になった先生、友人、後輩、家族への感謝の言葉で締めくくります。 「これらの経験を心に刻み、卒業後も前向きに努力を続けていきます。」といった前向きな言葉や、「高校で出会ったすべての人に感謝しています。」のような感謝の言葉で締めると、感動的でまとまりのある文章になります。
この基本的な構成に沿って、まずは書きたいことを箇条書きでメモしていくことから始めてみましょう。
卒業文集のテーマを見つけるヒント
構成がわかっても、肝心の「何を書くか」というテーマが決まらなければ始まりません。もしテーマ探しに迷ったら、まずは高校3年間の出来事を思いつくままに書き出してみるのがおすすめです。
- 学校行事:文化祭、体育祭、合唱コンクール、修学旅行など、クラスや学年全体で盛り上がった行事は、共感を呼びやすいテーマです。 成功体験だけでなく、「体育祭では準優勝だったけれど、みんなで協力した経験は団結力を育んでくれた」のように、結果だけではない学びを書くのも良いでしょう。
- 部活動:3年間打ち込んだ部活動は、多くの高校生にとって思い出深いテーマの一つです。 目標に向かって努力したこと、仲間と支え合った経験、悔しかった試合、そしてそこから得た学びなどを具体的に書きましょう。 キャプテンや部長だった人は、その役割を通して感じた責任感や成長について触れるのも良いでしょう。
- 勉強・進路:受験勉強の苦労や、将来の夢を見つけるきっかけになった授業など、学びに関するテーマも高校生ならではです。 「〇〇先生の授業がきっかけで、〇〇という夢を持ちました」のように、具体的なエピソードを交えると説得力が増します。
- 日常の出来事:特別な行事だけでなく、友達と過ごした何気ない放課後や、毎日通った通学路の風景など、日常の中にこそあなたらしい思い出が隠れているかもしれません。
これらのヒントから、自分が一番書きたい、伝えたいと感じるテーマを見つけてみてください。
参考になる例文はどこで探す?
「書きたいテーマは決まったけど、どう文章にすればいいかわからない」という時は、例文を参考にするのが一番の近道です。インターネットで「高校生 卒業文集 例文」と検索すれば、たくさんのウェブサイトが見つかります。
ただし、例文を参考にする際に最も大切な注意点は、丸写ししないことです。例文はあくまで、文章の構成や表現方法のヒントを得るためのものです。 素晴らしい例文を読んでも、それは他人の経験や言葉です。
あなたの卒業文集は、あなた自身の高校生活の記録です。例文を参考にしながら、「この表現、自分だったらどう言うかな?」「このエピソード、自分の体験に置き換えるとどうなるだろう?」と考え、自分らしい言葉で書き直すことを意識しましょう。そうすることで、誰かの真似ではない、心に響くオリジナルの卒業文集が完成します。
【関係性別】すぐに使える!高校生の卒業文集の例文エッセンス
ここでは、卒業文集でメッセージを贈りたい相手別に、文章に盛り込みたい要素と簡単な例文のエッセンスをご紹介します。これをヒントに、あなたの言葉でオリジナルのメッセージを作成してみてください。
友人・クラスメイトへのメッセージ例文
3年間、毎日顔を合わせてきた友人やクラスメイトは、高校生活に欠かせない存在です。楽しかったことも、大変だったことも、共に分かち合った仲間へのメッセージは、感謝と応援の気持ちを込めて書きましょう。
盛り込みたい要素
- 共通の思い出:文化祭や体育祭、修学旅行など、一緒に経験した具体的なエピソードに触れると、よりパーソナルなメッセージになります。
- 感謝の言葉:「いつも相談に乗ってくれてありがとう」「一緒に笑い合えて楽しかった」など、ストレートな感謝の気持ちを伝えましょう。
- 相手の素敵なところ:相手の長所や尊敬している点を具体的に伝えることで、より心に響くメッセージになります。
- 未来へのエール:「〇〇の夢、応援しているよ」「またどこかで会おうね」など、これからの未来に向けた前向きな言葉で締めくると良いでしょう。
例文エッセンス
「〇組のみんな、3年間本当にありがとう!特に文化祭で、みんなで夜遅くまで残って準備したことは忘れられない思い出です。意見がぶつかることもあったけど、最後には最高の劇を作り上げることができて本当に嬉しかったね。いつもくだらない話で笑わせてくれた〇〇さん、悩んでいる時に優しく声をかけてくれた〇〇くん。みんなと過ごした日々は、私の宝物です。これから進む道はそれぞれ違うけれど、みんなの未来が輝かしいものであることを心から願っています。また同窓会で、笑顔で会いましょう!」
後輩へのメッセージ例文
部活動や委員会活動でお世話になった後輩へ向けては、これまでの感謝と、これからの活動へのエールを伝えましょう。先輩からの温かい言葉は、後輩たちの励みになるはずです。
盛り込みたい要素
- 感謝の気持ち:「いつも私たちのサポートをしてくれてありがとう」「ついてきてくれて心強かった」など、後輩たちの支えに対する感謝を伝えましょう。
- 具体的なアドバイス:「練習でつらい時もあると思うけど、仲間と支え合えば乗り越えられるよ」など、自身の経験に基づいたアドバイスは後輩の心に響きます。
- 期待と応援:「皆なら、私たちが達成できなかった目標をきっと達成できると信じています」「これからの〇〇部をよろしくね」と、未来を託す言葉を添えましょう。
例文エッセンス
「〇〇部の後輩のみんなへ。これまで私たちを支えてくれて、本当にありがとうございました。皆のひたむきな努力と明るい笑顔に、私たちは何度も助けられました。これからは君たちが部を引っ張っていく番です。時には意見がぶつかったり、練習がうまくいかなかったりすることもあるかもしれません。でも、そんな時こそ仲間を信じて、力を合わせてください。皆ならきっと、素晴らしいチームになれると信じています。陰ながら、ずっと応援しています。」
先生への感謝を伝えるメッセージ例文
高校生活を支え、導いてくださった先生方へのメッセージには、尊敬と感謝の気持ちを丁寧に綴りましょう。授業の思い出や、心に残った言葉などを具体的に盛り込むと、より気持ちが伝わります。
盛り込みたい要素
- 具体的なエピソード:「先生の〇〇の授業は本当に面白くて、歴史が好きになりました」「進路の相談に親身に乗ってくださり、ありがとうございました」など、具体的な思い出を挙げましょう。
- 先生から学んだこと:教科の知識だけでなく、人として大切なことを学んだ経験があれば、ぜひ伝えましょう。
- 感謝の言葉:「先生のおかげで、今の自分があります」「3年間、本当にお世話になりました」と、心からの感謝を伝えましょう。
例文エッセンス
「〇〇先生へ。3年間、大変お世話になりました。特に印象に残っているのは、先生の世界史の授業です。ただ暗記するだけでなく、歴史上の人物の気持ちになって考えることの面白さを教えていただき、歴史が大好きになりました。進路に悩んでいた時、私の話を真剣に聞いて背中を押してくださったこと、本当に感謝しています。先生からいただいた『自分の可能性を信じなさい』という言葉を胸に、これからも頑張ります。先生の授業を受けられなくなるのは寂しいですが、教わったことを忘れずに、前へ進んでいきたいと思います。」
部活動の仲間へ贈るメッセージ例文
苦楽を共にした部活動の仲間は、特別な絆で結ばれているはずです。共に汗を流した日々の思い出や、お互いの成長を称え合う言葉を綴りましょう。
盛り込みたい要素
- 共通の目標:「県大会出場という目標に向かって、みんなで頑張った日々は宝物です」など、一緒に追いかけた目標について触れましょう。
- 印象的な出来事:悔し涙を流した試合、喜びを分かち合った勝利の瞬間など、具体的なエピソードは感動を呼びます。
- 仲間への感謝:「つらい時に声をかけてくれてありがとう」「みんながいたから頑張れた」と、仲間への感謝を伝えましょう。
- 未来へのメッセージ:「この経験を活かして、それぞれの道で頑張ろう」「また一緒に〇〇しようね」と、未来につながる言葉で締めましょう。
例文エッセンス
「サッカー部のみんな、3年間ありがとう。最後の大会、PK戦で負けてしまった悔しさは今でも忘れられません。でも、あの土砂降りのグラウンドで、最後まで声を掛け合い、走り続けたみんなの姿は、僕の誇りです。朝早くからの練習も、厳しいトレーニングも、みんながいたから乗り越えられました。この部活で学んだチームワークと諦めない心は、これからの人生で必ず役に立つと信じています。それぞれの道に進んでも、最高の仲間であることは変わりません。本当にありがとう!」
【テーマ別】自分らしい高校生の卒業文集を書くための例文とコツ
卒業文集のテーマとして人気の「学校行事」「勉強や進路」「将来の夢」「感謝」について、より自分らしく、読んだ人の心に残る文章を書くためのコツを例文とともに解説します。ありきたりな内容で終わらせないためのヒントが満載です。
楽しかった学校行事を振り返る例文
文化祭や体育祭、修学旅行といった学校行事は、卒業文集の定番テーマです。 多くの人が書くテーマだからこそ、自分ならではの視点や感情を盛り込むことで、オリジナリティが出ます。ただ「楽しかった」で終わらせず、その経験を通して自分がどう感じ、何を得たのかを深く掘り下げてみましょう。
書き方のコツ
- 五感をフル活用して描写する:例えば文化祭の模擬店について書くなら、「ソースの焦げる香ばしい匂い」「活気あふれるお客さんの声」「クラスTシャツの鮮やかな色」のように、その場の情景が目に浮かぶように描写すると、読者も一緒にその場にいるような気持ちになれます。
- 自分の役割と心の動きを具体的に:あなたが実行委員だったなら、準備の大変さや仲間との協力、成功した時の達成感を書きましょう。 もし目立つ役割ではなかったとしても、「人前に立つのは苦手だったけど、裏方としてクラスに貢献できたのが嬉しかった」というように、自分の内面的な変化や成長に焦点を当てることができます。
- 結果だけでなく過程を大切に:体育祭で優勝したことだけを書くのではなく、そこに至るまでの朝練の様子や、クラスメイトと作戦を練った時間など、努力の過程を描写することで、物語に深みが生まれます。
例文
「高校生活で一番の思い出は、二年生の修学旅行で訪れた沖縄です。どこまでも青い海と空、初めて見るカラフルな魚たち。教科書で見た景色が目の前に広がっていることに、ただただ感動しました。特に心に残っているのは、民泊体験でお世話になったおじいとおばあとの出会いです。最初は方言が聞き取れず戸惑いましたが、身振り手振りで島の歴史や文化について熱心に話してくれました。最後の夜、『またいつでも帰っておいで』と温かく見送ってくれた時、涙が止まりませんでした。この修学旅行は、美しい景色だけでなく、人の温かさに触れる貴重な経験となりました。この思い出を胸に、これからは私も誰かの心を温かくできるような人になりたいです。」
勉強や進路について語る例文
高校生活は、自分の将来と向き合う大切な時間でもあります。受験勉強の苦労や、進路を決めるまでの葛藤、そして夢を見つけるきっかけとなった学びなど、真剣に取り組んだからこそ語れることがあるはずです。
書き方のコツ
- ターニングポイント(転機)を明確に:「〇〇先生の一言がきっかけで、看護師という夢が明確になった」「苦手だった数学を克服できた成功体験が、自分への自信につながった」など、自分の考え方や行動が変わるきっかけとなった出来事を軸にすると、ストーリーがはっきりします。
- 結果だけでなく、葛藤や努力を描く:すぐに進路が決まったわけでなくても、「将来何がしたいのか分からず、毎日悩んでいた」「模試の結果に一喜一憂し、何度もくじけそうになった」といった正直な葛藤を書くことで、読者の共感を呼びます。
- 学びを未来へどう繋げるか:高校での学びや経験を、大学や社会に出てからどう活かしていきたいかという未来への展望で締めくくると、前向きな印象を与えることができます。
例文
「入学当初、私には将来の夢がなく、ただ漠然と大学に進学しようと考えていました。そんな私の考えを変えたのは、物理の授業でした。正直、物理は苦手科目で、テストの点数も良くありませんでした。しかし、担当の〇〇先生は、公式を覚えさせるのではなく、『なぜそうなるのか』という現象の面白さを、身近な例を使って根気強く教えてくれました。ある日、先生が『物理は世界を説明するための言葉なんだ』と話してくれた時、バラバラだった知識が繋がるような感覚を覚えました。それから私は、身の回りの現象の仕組みを解き明かすことに夢中になりました。この経験から、私は大学で工学を学び、人々の生活を豊かにする技術開発に携わりたいという明確な目標を持つことができました。苦手なことから逃げずに向き合うことの大切さを教えてくれた先生には、心から感謝しています。」
将来の夢や目標を語る例文
将来の夢や目標について書くことは、未来の自分への宣言にもなります。なぜその夢を持つようになったのか、その夢を実現するためにこれからどうしていきたいのかを、自分の言葉で熱く語ってみましょう。
書き方のコツ
- きっかけとなった具体的なエピソードを語る:ただ「〇〇になりたい」と書くだけでなく、「幼い頃に見た映画がきっかけで、人を笑顔にする仕事に憧れた」「職業体験で出会った保育士さんの姿に感動した」など、夢の原点を語ることで、文章に説得力が生まれます。
- 夢の実現に向けた決意表明:「そのために、大学では〇〇を専門的に学びたい」「どんな困難があっても、この夢は諦めずに追い続けたい」といった、具体的な行動や強い意志を示すことが大切です。
- 社会とどう関わりたいか:自分の夢が、社会や他の人々とどのように関わり、貢献できるのかという視点を持つと、よりスケールの大きな、志の高い文章になります。
例文
「私の将来の夢は、地域の人々が集まる温かいパン屋さんを開くことです。この夢を持ったのは、共働きだった両親の代わりに、いつも笑顔で迎えてくれた近所のパン屋のおばあちゃんの影響です。学校で嫌なことがあった日も、おばあちゃんの焼く優しい味のクリームパンを食べると、自然と元気が出ました。パンの香りとおばあちゃんの笑顔は、私にとっての心の拠り所でした。高校に入ってからは、そのパン屋でアルバイトを始め、パン作りの難しさと奥深さを学びました。これからは製菓の専門学校に進学し、本格的に技術を磨いていくつもりです。そしていつか、私がおばあちゃんにしてもらったように、焼きたてのパンと笑顔で、誰かの心をそっと温められるようなお店を持つのが私の目標です。」
感謝の気持ちを伝える例文
高校生活を支えてくれた友人、先生、そして家族。卒業という節目に、改めて感謝の気持ちを伝えてみませんか。普段は照れくさくて言えない言葉も、文章なら素直に伝えられるかもしれません。
書き方のコツ
- 誰に、何に対して感謝しているのかを明確に:対象を絞ることで、より具体的で心のこもったメッセージになります。「いつも励まし合ったクラスの仲間たち」「厳しくも温かく指導してくださった顧問の先生」「毎日お弁当を作ってくれた母」など、特定の相手を思い浮かべて書きましょう。
- 思い出のエピソードを添える:「ありがとう」という言葉に、具体的なエピソードを添えることで、感謝の気持ちがより深く伝わります。「私が部活でスランプだった時、黙って自主練に付き合ってくれたこと、本当に嬉しかったよ」のように、情景を思い出しながら書きましょう。
- 自分の成長と結びつける:「皆のおかげで、私は人前に立つのが苦手な自分を乗り越えることができた」「家族の支えがあったからこそ、受験勉強を最後まで頑張れた」というように、相手の存在が自分の成長にどう繋がったかを書くと、感動的な文章になります。
例文
「卒業にあたり、一番感謝を伝えたいのは両親です。3年間、毎朝早く起きてお弁当を作ってくれたこと、夜遅くまで塾に送り迎えしてくれたこと、当たり前のように感じていたけれど、本当に大変だったと思います。特に、私が大学受験に失敗し、進路について思い悩んでいた時、二人は何も言わずにそっと見守ってくれました。そして、私がようやく『浪人してもう一度挑戦したい』と告げた時、『あなたの人生だから、あなたの信じる道を進みなさい』と力強く背中を押してくれました。あの言葉がなかったら、私は前を向くことができなかったでしょう。これからは、少しでも二人に恩返しができるよう、自分の目標に向かって精一杯努力します。今まで本当にありがとうございました。」
高校生の卒業文集でありがちな悩みと解決策【例文付き】
卒業文集の執筆は、多くの高校生にとって初めての経験です。「何を書けばいいか全く思いつかない」「書いてみたけど、なんだかありきたり…」そんな悩みを抱えていませんか?ここでは、よくある悩みとその解決策を、具体的な例文を交えながらご紹介します。
何を書けばいいか全く思いつかない場合
真っ白な原稿用紙を前に、頭の中も真っ白…という時は、無理に文章をひねり出そうとせず、まずは高校生活の「材料」集めから始めましょう。
解決策:思い出の棚卸しをしよう
- キーワードを書き出す:まずは難しく考えず、高校3年間で経験したことや、心に残っている単語を箇条書きにしてみましょう。
- 行事:文化祭、体育祭、修学旅行、合唱コンクール…
- 場所:教室、図書室、体育館、部室、屋上、通学路…
- 感情:楽しかった、悔しかった、嬉しかった、緊張した、感動した…
- 人:友人、先生、後輩、クラスメイト…
- 一つを深掘りする:書き出したキーワードの中から、少しでも心が動いたものを一つ選びます。そして、それについて「いつ?」「どこで?」「誰と?」「どうしてそう感じた?」と自問自答しながら、具体的なエピソードを思い出していきます。
例えば、「文化祭」というキーワードを選んだとします。
→「2年生の時の文化祭」
→「クラスでやったお化け屋敷」
→「準備が大変だったけど、みんなで協力した」
→「お客さんが驚いてくれた時、すごく達成感があった」
このように連想ゲームのように繋げていくと、文章の核となるエピソードが見つかります。
例文エッセンス
「高校生活を振り返って、一番に思い出すのは、教室の窓から見えた夕焼けの美しさです。部活動で疲れて帰る時、友達と他愛もない話をしながら眺めたオレンジ色の空。受験勉強で行き詰まった時、一人でぼんっと眺めた茜色の空。あの夕焼けは、私の高校生活の様々な場面に寄り添ってくれていたように思います。特別な出来事があったわけではありませんが、あの何気ない日常の風景こそが、私にとってかけがえのない宝物です。」
ありきたりな文章になってしまう場合
「楽しかったです」「良い経験になりました」といった言葉だけでまとめてしまうと、誰が書いても同じような、印象の薄い文章になりがちです。あなただけのオリジナルな卒業文集にするためには、あなた自身の「感情」と「視点」を加えることが不可欠です。
解決策:自分だけの「なぜ?」と「どう変わった?」を加えよう
- 「なぜ」そう感じたのかを掘り下げる:「楽しかった」だけでなく、「なぜ楽しかったのか?」を具体的に説明します。例えば、「クラスのみんなと一つの目標に向かって努力する一体感が楽しかった」「自分のアイデアが採用されて形になる過程が楽しかった」など、理由を明確にすることで、あなただけの感想になります。
- その経験を経て「どう変わった」のかを書く:経験を通して得た学びや、自分自身の成長について触れましょう。 「最初は人前に立つのが苦手だった私が、文化祭の劇で主役を演じたことで、自分に自信が持てるようになりました」のように、ビフォーアフターを書くと、文章に深みが出ます。
例文エッセンス
(ありきたりな例)
「体育祭はとても楽しかったです。クラスが団結して、良い経験になりました。」
(自分らしい言葉を加えた例)
「正直、最初は体育祭の練習が面倒だと感じていました。しかし、クラス対抗リレーのメンバーに選ばれ、毎日の朝練に参加するうちに、私の気持ちは変わっていきました。日に日に速くなるバトンパス、お互いにアドバイスを出し合う仲間たちの真剣な眼差し。『勝ちたい』という一つの目標に向かってクラスが一つになっていく空気を肌で感じ、鳥肌が立ちました。結果は3位でしたが、順位以上に大切な『仲間と協力することの素晴らしさ』を学ぶことができたこの経験は、私にとって大きな財産です。」
文章をまとめるのが苦手な場合
書きたいエピソードはたくさんあるのに、うまく文章として繋げられない、という悩みもよく聞きます。そんな時は、シンプルなテンプレート(型)にあてはめて考えてみると、文章の構成が整理され、格段に書きやすくなります。
解決策:魔法のテンプレートを活用しよう
ここでは、どんなテーマにも応用しやすい2つのテンプレートをご紹介します。
テンプレート1:思い出3つ紹介型
一番シンプルで書きやすい構成です。
- 書き出し:「私の高校生活の思い出は、主に3つあります。」
- 思い出1:「一つ目は、〇〇です。(具体的なエピソード)」
- 思い出2:「二つ目は、〇〇です。(具体的なエピソード)」
- 思い出3:「三つ目は、〇〇です。(具体的なエピソード)」
- 結び:「これらの経験を胸に、これからも頑張りたいです。」
テンプレート2:一つの出来事深掘り型
特に印象に残っている一つの出来事を詳しく書きたい場合におすすめです。
- 書き出し:「高校生活で最も印象に残っているのは、〇〇という出来事です。」
- 出来事の説明:「それは、〇年生の時の〇〇で、私は〇〇をしていました。(当時の状況)」
- 困難や葛藤:「しかし、〇〇という問題が起こり、私は〇〇と悩みました。(ぶつかった壁)」
- 乗り越えた経験:「そんな時、〇〇というきっかけで、〇〇することで乗り越えることができました。(学びや成長)」
- 結び:「この経験から学んだ〇〇を、これからの人生でも活かしていきたいです。」
これらのテンプレートに自分のエピソードを当てはめてみるだけで、文章の骨格が完成します。あとは、それぞれのパートにあなたらしい表現を加えていけば、立派な卒業文集になります。
まとめ:高校生の卒業文集は例文を参考に自分らしい言葉で
この記事では、高校生の皆さんが卒業文集を書く際に役立つ情報として、基本的な構成からテーマの見つけ方、関係性別・テーマ別の例文やコツ、そして執筆中にありがちな悩みの解決策まで、幅広くご紹介しました。
卒業文集に「こう書かなければならない」という絶対的な正解はありません。大切なのは、高校3年間というかけがえのない時間を振り返り、感じたこと、考えたことを自分の言葉で素直に表現することです。
たくさんの例文を参考にすることは、表現の幅を広げたり、構成を考えたりする上で非常に有効です。 しかし、最終的にはあなた自身の体験に基づいた、あなたにしか書けない言葉を紡ぐことを忘れないでください。少し背伸びした難しい言葉を使う必要はありません。
この文集は、数年後、数十年後にあなた自身が読み返すための、未来の自分への手紙でもあります。この記事をヒントに、あなたの高校生活が詰まった、世界に一つだけの素敵な卒業文集を完成させてください。
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